【懐かしの名曲の中のオートバイ】水越 恵子「いつだってボーイフレンド」-From My Playlist-
日本の音楽シーンが大きな盛り上がりを見せ
バイクは自由や反抗のシンボルとして輝いた
さまざまなアーティストが作品の中でバイクを扱い
数多くの楽曲がライダーの心を揺さぶった
編集ナカジマのプレイリストから思い出の曲を紹介
オートバイにお似合いの二人街中のうわさ
水越けいこは70年代から活躍しているシンガーソングライターでボーカリスト。デビュー当時、朝のTV番組で歌のお姉さんを努めて人気を博し、「ほほにキスして」はスマッシュヒットとなった。水越恵子名義での活動に馴染みがある人も多いかもしれない。シングル曲の大ヒットはないが、アルバム(LPレコード)を楽しみにしているファンをたくさん持つアーティストだった。
デビュー曲「幸せをありがとう」のアレンジを務めたのが佐藤準で、「ほほにキスして」も彼のアレンジだ。また、「too far away」は遠く離れていても一途に彼女を思い続ける男性の思いを綴ったラブソングの名曲で、谷村新司らにカバーされている。こちらは伊藤薫の作品でアレンジは大村雅朗だった。
そして今回紹介する「いつだってボーイフレンド」は水越恵子の作品で佐藤準がアレンジを手掛けている。日本では、作詞・作曲はクローズアップされるが、アレンジ(編曲)はそこまで注目されない。しかし、ヒットするためにはアレンジが大切だ。アレンジが異なれば埋もれてしまったヒット曲もたくさんあったはずだ。佐藤準はスモーキーメディスン解散後、Charのバンドでキーボードを務めるなどプレイヤーとしても確かな技術を持っていたが、おニャン子クラブの「セーラー服を脱がせないで」など、大ヒット曲のアレンジを多数手がけている。ちなみに、19年の伊藤蘭ソロデビューアルバムに参加し、ライブツアーではバンドマスターを務めている。キャンディーズは本格的なバンドをバックに歌っていたが、当時の演奏の雰囲気を見事に再現したバンドサウンドを見せてくれている。
さて、「いつだってボーイフレンド」に話を戻そう。近所に住む幼馴染みの男の子に思いを寄せてきた女の子のストーリーだ。学生時代には赤線を引いた参考書を譲り受けるほどの距離感だったけど、恋愛関係にはならなかった。近すぎると、その気持ちに気がつかないパターンのやつだ。卒業しても相変わらずの関係で、会いたいときに電話しても平気で冷たくすると嘆いている。移り気な彼は、今はショートカットの彼女がお気に入り。
大人になった彼女は、いつまでも昔のままじゃいられないと思い、小さな町から旅立つことを考える。私がいなくなっても、少し驚くだけですぐに忘れるかしら? というフレーズからまったく未練がないわけではない。奥ゆかしくて思いを伝えられずに日の目を見ないままで終わるのか、彼が思いに気付くのかは分からない。できれば彼が思いに気づいてのハッピーエンドを望みたいが、リスナーによって答えは異なることだろう。
作品は80年発表。この年の人気バイクといえば、ヤマハRZ250とホンダCB750Fだ。「オートバイがお似合いの2人、街中のうわさ」と歌っているが、その噂は「暴走族っていやーね」ではないと思いながらも、ロケットカウルのKH400やGS400も頭に浮かんだが、これは否定しておきたい。
YAMAHA RZ250(1980)
ヤマハがレース培ってきた市販レーサーTZの技術を存分に注ぎ込んだバイク。マーケティングではなくヤマハが作りたいものを作った結果、巨大市場を創造した
Honda CB750F(1979)
日本のバイクが高性能であることを証明したCB750 Fourの後継機種。耐久レースで活躍したRCB のツインカムエンジンに倣った高性能で新時代を切り拓いた