【キャンプで”火”を使いこなせ!】LIGHT MY FIRE「薪」
焚き火に絶対不可欠なもの
それは燃料となる薪をおいて他ならない
キャンプ場の管理人滞在時間も大事なポイント
きちんと調べておかないと
現場で悲しい思いをすることにもなる
BikeJIN2024年2月号 Vol.252掲載
焚き火に不可欠なものと言えば何よりもまず薪である。これがないと話にならない。
薪の入手に関していうと一番手っ取り早いのがキャンプ場で購入することだが、いわゆる現場売りで少々割高なのは仕方ない。キャンプ場の近くにホームセンターなどがありキャンプサイトの設営が早めの時間に終わった時には、ちょっと出かけて買いに行くということもできなくはないが、キャンプ場から離れている場合にはちょっと厄介だ。出かける前にキャンプ場のそばにホームセンターがあるかどうか調べておくことも大切なことだろう。町営や村営のキャンプ場では係員が夕方5時で帰ってしまうことも多いので到着が5時過ぎるようならホームセンターで買ってから向かうことも考えておきたい。都市部に住んでいてホームセンターが開いていない時間に現地到着するような場合にはアウトドアショップであらかじめ購入しておくのがいいだろう。僕は普段から散歩のついでに近所の公園などで落ちている枯れ枝を拾っておき、焚き付けや薪をある程度用意しておくようにしてある。こうしておけばキャンプに行きたいと突然思いついた時でもすぐに出かけられる。建築廃材は古民家ならいいが新建材は塗装がされていたり、防腐剤が含浸させてあったりして燃やすと有毒なガスが出ることもあるから注意が必要だ。
キャンプ場で売られている薪はスギ材が主になっていることが多いが、ところによってはしっかりした広葉樹の薪が置いてあり、選べることもある。スギは簡単に火が着き柔らかく割るのも簡単だが、あっという間に燃えてしまう。ナラやカシなどの広葉樹の薪はしっかり乾燥させてあるものは硬くて割りにくいが、火持ちがよく、いい熾火になってくれて焚き火の調理にも適している。
薪で重要なのはその乾燥度だ。薪ストーブを使う家では割った薪を野外で約3年ほど乾燥させてから使うのが通例になっている。アメリカのユタ州ザイオン国立公園のキャンプ場に置いてあった薪はカラカラに乾燥していて、大人のふくらはぎ程度の太い薪がマッチ1本で着火させることができた(しかもキャンプ場使用料に含まれていて、いくら使ってもタダだった)。日本ではさすがにこうはいかず、着火剤を大量に使ってもなかなか火がつかないことも少なくない。だから最初に割り箸程度の太さのものを大量に作っておくことが必要になるし、焚き火の脇で次に燃やす薪を乾燥させておくという技も必要になってくる。
しかし、十分に乾燥が済んでいない薪がマイナスポイントしかないかというとそうでもない。煙がたくさん出てけむいのだが、蚊などの虫除けになっていることは確かな事実である。北海道やアラスカなどでキャンプしていると、焚き火の火が消えたと同時に蚊の大群が襲ってくる。
さて、薪を使いやすい適度なサイズにするためには「薪割り」という作業が必要になる。斧やナタといった大型の刃物を使うことになり、安全にも十分注意しなくてはいけなくなるのだが、それについては次号で。
❶仕事が終わって出発し、夜中にキャンプ場に到着するような場合は薪を5、6本持参する。寝るまでの間、ほんのひとときでもいいので火を見ていたいから。この量ならバイクでもさほど荷物にならない。
❷ザイオン国立公園内のキャンプ場にて。このようなぶっとい薪がマッチ1本で着火できる。どれだけ空気が乾燥しているかがよく分かる。
❸キャンプ場に着いて設営が完了したら散歩に出るついでに薪と焚き付け探しをするといい。松の木があるなら焚き付けに最適なマツボックリが拾えるし、乾燥したスギの葉もいい焚き付けになる。乾燥途中のスギの葉は煙が出るが虫除けになる。
❹近所の建築現場で伐採した植木を発見。快く譲ってもらえた。
❺薪を運ぶ時に覚えておきたいのが「カウヒッチ」という輪を使ったロープワーク