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【カタナ専門ショップ・ユニコーン④】GSX1400S発売、夢のカフェラウンジ併設ショップに

(BikeJINvol.235 2022年7月号より抜粋)

イナズマ1200をベースとした、神戸ユニコーンオリジナルモデルのGSX1200Sが完成してからしばらく経った01年、スズキは1401㏄油冷並列4気筒エンジンを搭載した、ビッグネイキッドのGSX1400というバイクを発売しました。

それこそ今だから話せることですが、スズキからは開発段階で情報をもらっており、量産試作車を2台送ってもらいました。なにせダブルクレードルフレームですから、こちらとしては新しいカタナを製作するベース車として、とにかく興味たっぷりだったわけです。

ところが実車の採寸などを進めるにつれ、「これは随分とまたハードモードだなあ……」と。サイズと設計と装備が大幅に異なるGSX1400に、カタナデザインを融合させることはとても難しく、理想のスタイリングを実現するためにアルミ製燃料タンクを金型から製作し量産することにしました。もちろん、他の外装類なども基本的に同じです。当時の規模で、GSX1400Sを量産車モデルとして製作するための初期投資というのは、車両販売台数が予定より大幅に少なければすぐに会社が倒産するようなレベル。GSX1200Sでの経験値がなければ、このプロジェクトを進められなかったかもしれません。

燃料タンクや外装類などの型づくりという問題だけでなく、例えばステップ位置はカタナのライディングポジションに合わせて専用プレートを製作して位置を変更しましたが、それだけで図面が200枚前後、テスト品が何10セット単位で必要となります。まあ、このあたりは二輪メーカーが車両開発でやっている内容と、ほぼ同じです。すべての開発に大変な時間と労力とコストがかかっているのです。

そのためGSX1400Sの発売当初は、「50台売れなかったら破産だ」なんて冗談を話していたのですが(半分本気!!)、おかげさまで最終的には計画の3倍、150台超まで販売数を伸ばせました。これにより会社の売り上げ規模も拡大。07年11月、有限会社から株式会社に組織変更して社名を「ユニコーンジャパン」とし、その2カ月後には業務拡大のため同じ横浜市内のベイエリアとなる金沢区に移転しました。さらにその1年後、ようやく希望どおりの物件に巡り合うことができて、旧社屋から約300mの場所に再び移転。この5店舗目が、現在もユニコーンジャパンがある横浜市金沢区福浦2-13-21です。

じつは、85年に神戸市垂水区で初めて自分のショップを開業したときの夢が、「いつかカフェラウンジのあるバイクショップを建てる」というものでした。現在の土地は自社所有なので、自由にすることができます。そこで、蔵をモチーフにした建屋を自分でデザインして、外に停めた愛車を眺めながらコーヒーなどを楽しめるユニコーンカフェをつくりました。

現在の工場敷地内にある、蔵をモチーフに内外装がデザインされたショールームと、その奥に設けられたカフェスペース。カタナ乗りの夢空間である
こちらは、ユニコーンカフェにさりげなく飾られている、00年に発売されたGSX1100Sカタナのファイナルエディション……のプロトタイプ

このスペースにはショールームが併設されていて、そこにはスズキの名物エンジニアとして知られた故・横内悦夫さんの愛車だったGSX1100Sカタナや、西部警察で鳩村英次刑事を演じた舘ひろしさんが乗ったGSX1100Xカタナ、さまざまなカタナグッズや資料なども展示してあります。

TVドラマ「西部警察」の撮影で舘ひろしさんが操ったGSX1100X カタナ。舘さんの要望によりカスタムされた車両で、昨年末には、TVの企画で約41年ぶりに舘さんが走らせた

その中でも、残念ながら昨年亡くなられた横内さんに関する品々は、私にとっての宝物。横内さんの現役時代にも雑誌取材などを通じて面識はあったのですが、横内さんが定年退職された後に、しばらく乗っていなかった愛車のカタナを動かせるよう復活させるためのショップにユニコーンを選んでくれて、そこからはかなり深いお付き合いをさせていただきました。

ユニコーンジャパン代表:池田隆さん
専門的二輪車の世界には道を突き詰める楽しさあり!スズキ・カタナシリーズのスペシャリストとして活動する横浜市のユニコーンジャパンその代表を務める池田隆さんは極めて豊富な経験と知識を持つ世界最高峰の“刀職人”だ

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