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【徹底解剖】下りのワインディングが怖いワケ

「下りは怖い!」という気持ちはよく分かるけど
そこで思考停止していたら進歩は難しい
まず分析したいのは、下りが恐怖心を生む理由
“敵”を知れば、おのずと対策方法も見えてくる
ただしそれは、ひとつだけとは限らないのだ!

速度と荷重の制御ができていないことが問題

大前提として、下りのライディングは難しい。でも「難しい=怖い」はちょっと違うと思うのだ。

たしかに、「難しいからミスしやすく、リスクが高まる可能性があり、それが怖い」という論理は成り立つ。しかしそもそもバイクは、クルマと比べたら操縦が難しいとされる乗り物。それでもライダーは、好きでバイクに乗っている。それなら下りのことも、究極的には「難しいけど好き」という状態になってしまえば、怖くなくなるはずだ。

そこでまずは、下りコーナーの進入から立ち上がりまでの各地点で「何が難しいのか?」を分析してみた。初中級者が下りのワインディングに感じる難しさのポイントは、下記に挙げている5項目にほぼ集約されているはずだ。

詳細は各項を読んでもらいたいのだが、全体的な話として、難しさの根本的な原因となっているのは〝速度〞と〝荷重〞。これらをきちんとコントロールできていないことが、その先のステップにまで悪影響を与える。例えば「荷重を制御できていないこともあって進入速度を落とせず、その状態で旋回を開始するから視覚的な怖さが増して安全なラインをトレースするのも難しくなり、速すぎるからいつまでもスロットルが全閉状態で、後輪に荷重が掛らず安定しない」というようなパターンだ。

しかも、バイクを上手に操れていない感覚が不安を呼び、身体の動きをカタくするので、さらに適切な操縦ができなくなり……。

これこそが、下りにおける負のスパイラルの代表例である。

下りのワインディングに感じる難しさのポイント

STEP1 コーナー手前

いつの間にかスピードが出ている

自転車は、下り坂なら漕がなくても速度が上がる。これは、重力と斜面の関係によるものだ。バイクの場合はエンジンブレーキの影響などがあるとはいえ、基本的にこれと同じなので、上りと同じようにスロットルを操作していると、「いつの間にかこんな速度に!」なんてことも……

STEP2 コーナー手前

前のめりで走りづらい

勾配が急な下り坂では、真横から見たときに車体の前側がだいぶ低くなっていて、これに合わせたままの姿勢だと、平地のときより上半身は前傾。フロントブレーキを掛けるとさらにその傾向が強くなり、シートの前側に座らされ腕には体重が乗り、窮屈で走りづらい

STEP3 コーナー入り口

視覚的な怖さがある

下りは速度が出やすいことは、ほとんどのライダーが実体験として知っているので、「このままうまく曲がれず、道の外に放り出されてしまうのでは……」と、下りコーナーを見たときにネガティブなイメージを抱きやすい。苦手意識から、余計にそう思ってしまう人も多いのだ

STEP4 コーナー中

どこを走ればいいか分からない

安全にワインディングを楽しむためのライン取り(=走行車線内あるいはセンターラインがない道なら左側のどこを走るか)のセオリーは、上りと下りでそれほど大きく違わない。でも、そもそもライン取りについて知らないとか、下りになると突然できなくなるなんて人も……

STEP5 コーナー出口

スロットルを開けるタイミングが分からない

高めのギヤならエンジンブレーキの効果は少なく、下り勾配がキツめなら、スロットルを開けなくても加速できてしまうことすらある。それなら、スロットル操作なんてしなくていい気も……。しかしこのような運転だと、車体の挙動は安定せず、走りにメリハリが生まれないことからリズムも掴めない

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