1. HOME
  2. COLUMN
  3. アイテム
  4. キャンプ
  5. 【第11回 】アウトドアMONOローグ「ボトル」

【第11回 】アウトドアMONOローグ「ボトル」

BikeJIN2023年5月号(Vol.243)掲載

単なる瓶と言うなかれ
アウトドア用のボトルは、その用途に合わせて
さまざまなノウハウが詰まっているのである

街の中ではコンビニや自動販売機があちこちにあって、水を手に入れることも簡単にできる。しかし、アウトドアフィールドに出るとその状況は一変する。一番いい例が登山だが、山にはコンビニも自動販売機もない。基本は自分で持っていくものだ。キャンプ場でもいちいち洗い場まで水を飲みに行くのは面倒なので、ある程度の量は手近に置いた方が便利だ。そこで必要になるのがウオーターボトル、つまり水筒である。 

水筒にはインシュレーションと呼ばれる2重構造のものもあって、間が真空になっている。日本では魔法瓶と呼ばれている。お湯を入れておけば、しばらくは温かいものがすぐ飲めるし、広口タイプならばスープジャーとしても使える。冷たいものは冷たいままで、氷を入れておけば溶けにくい。

 話はそれるが、日本は水道水がそのまま飲める数少ない国のひとつだ。しかもきちんと殺菌もされていて3日間そのままでも大丈夫だし、味もさほど悪くない。フランスなどは硬水なので飲みつけない人はお腹を壊す。何よりおいしくない。お茶やコーヒーが普及した理由のひとつがそれだし、ワインとミネラルウオーターの値段がさほど変わらないのもそういった理由による。

水筒の他にストーブの燃料を入れるためのフューエルボトルがある。ガスカートリッジを使うタイプのストーブは必要ないが、ガソリン、灯油、アルコールを燃料とするストーブにはこれが必要だ。僕はバイクでキャンプ旅をする時には燃料を共有する目的でガソリンストーブを使っているが、使用時以外、ボトルはバイクからガソリンを移して常に満タン状態にしてある。これはバイクの予備タンクとしての目的で、万が一バイクがガス欠になっても1Lあれば日本では次のガソリンスタンドまで行けるからだ。バックパッキングなどでアルコールストーブを持っていく時には燃料は少々高価だが燃料用アルコール(メチルアルコール)ではなく、消毒用アルコールを持っていく。ケガなどの消毒の際に使用できるからだ。しかもアルコールは街には必ず1軒はある薬局で簡単に手に入る。

 ちなみにガソリン用とアルコール用のボトルは外見もまったく違うものにして、誤って逆のものを持って行かないように気をつけている。僕の場合、さらにもうひとつのボトルがある。これは人用の燃料、つまり酒を入れておくためのものだ。酒用のボトルではフラスコとかバッカスとか呼ばれる薄い携帯用のものがあるが、これは胸や腰のポケットに入れるためのもので、カッコはいいが容量は少ない。言い方は悪いが、絶えず酒を手放せないアル中の人のための道具だと僕は思っている。

 買った時のガラス瓶のまま持っていけばいいじゃないかと思うかもしれないが瓶の廃棄の問題もあるし、何よりもガラス瓶では破損の心配がある。経験上、酒瓶が落ちたり倒れたりした時にそこに石がある確率は、その酒が高級品であればあるほど高くなるからだ。

後列左から4つ目までがナルゲンボトル。ナルゲンは当初研究・医療用のボトルメーカーだったがアウトドア用のボトルを作り始めて爆発的な人気を得た。右端はグランテトラ。懐かしい形状だ。中列左から4つ目まではストーブ用の燃料ボトル。左2つはトランギアのアルコール用ボトル。3番目、4番目はMSRとSOTOのガソリン用ボトル。右2つはチタンボトル。チタンは金属臭がしないので酒用にしている。前列左から5つ目まではSIGGのアルミ製ウオーターボトル。メーカーとのコラボ製品などさまざまなグラフィックのモデルがある。5つ目は初期の軍用水筒を模した楕円形モデル。右端はクリーンカンティーンのインシュレーションボトル。スープジャーとして使うことが多い。
ナルゲンの広口ボトルにはヒューマンギアのキャップキャップというパーツをつけて飲みやすくしてある。
トランギアのボトルキャップは注ぎやすい設計。
ナルゲンの1.5ℓボトルはパスタを入れるのにちょうどいいサイズだ。
インシュレーテッドは魔法瓶構造になっていることを示している

関連記事