1. HOME
  2. COLUMN
  3. アイテム
  4. キャンプ
  5. 【第4回 】アウトドアMONOローグ「チェア」

【第4回 】アウトドアMONOローグ「チェア」

BikeJIN2022年9月号(Vol.235)掲載

キャンプ以前に、ツーリング時に是非買っておきたいモノ
それは「イス」である、と言ってしまおう
いい風の吹く、眺めのいい場所を見つけたら
ゆっくり腰掛けてひと休み
立って景色を眺めるのとは、格段に違う時間が得られる

 「キャンプが流行っているらしい。じゃあ自分もちょっとキャンプツーリングでもやってみようか」と考えている人に伝えたいこと。まず、キャンプは「金がかかる」。キャンプ道具をイチから揃えようとなると、少なくとも約10万円からの出費を覚悟しなくてはいけない。さらには、「キャンプ道具はかさばるモノが意外と多い」ので、それなりの保管スペースも必要になる。

 それ以前に、自分がキャンプ向きの人間であるのか、を考えた方がいい。「自分に合わなかったら買った道具は友達にでもあげればいい」という懐に余裕がある人にはなにも言うつもりはないが、僕の周りにはあまりそういう人はいない。また多くの苦い経験から言わせてもらうと「最初は安物でいいや」と思って買った道具は長続きしないですぐに壊れるか、または、もっといいモノが欲しくなってしまう。だから「少し高いな」と思っても、いい道具を買うべきだし、一気に揃えるものでもない。最近はキャンプ場でテントやシュラフのレンタルもあるのだから、何度か出かけて「おもしろい!」と本気で思えるようになってからでも全然遅くはない。

と、なると最初に買うべき道具はなにか、という話になるのだが、僕のオススメはチェア、つまりイスである、と言い切ってしまおう。キャンプ以前に、ツーリングでもイスがあると気持ちの余裕がまったく違ってくる。気に入った風景の中で、たった10分でもいいからイスに座ってみるといい。立っていると視線は水平方向にしか行かないものだが、イスに座ると視線が上にも向いて、空がぐんと広くなる。

 キャンプ道具を貸し出してくれるキャンプ場でもイスの貸し出しがあるところは少ないし、友人のキャンプに同行するにしても、他人のイスまで用意してくれる人はさらに少ない。自分のイスがあるというだけで気軽に出かける気分になれるのだ。 ちなみに、イスを買う際に、ネットのレビューを見てポチッとするのは絶対にやめた方がいい。イスは座ってみてナンボの道具。キャンプギアとして有名なヘリノックスのイスも、座面高やタイプによって座り心地はまったくと言っていいほどに違う。自分のスネの長さに合わなければ、快適さは半減する。イスだけは実際にショップに行って座ってみてから決めることをオススメしたい。

ヘリノックスのイスの話が出たところで言うと、ヘリノックスのチェアワンはあまりに有名になってしまったおかげで、本物と見間違えるくらいのコピー製品も非常に多く出回っている。ネットのオークションなどで、同じようだし安いからこっちでいいやと思って買うと後でとんでもないことになったりするから気をつけた方がいい。オリジナルと比べてフレームの強度はないし、座面の縫製も雑、もちろんメンテナンスの保証も一切ない。故障した時に直してくれるバイク屋がないようなものだ。少しくらい安くても、そんな買い物はしたくないでしょ。

僕のお気に入りの椅子3脚。右から、 ・「寝れる」イス、ヘリックス/ビーチチェア。 ・オプションも豊富なベストセラー、ヘリノックス/チェアワン。 ・軽量性と収納性を追求したグリベル/トレッキングチェア
収納状態での500ccペットボトルとの比較
ヘリノックス/チェアワンの最大の弱点は座面生地がナイロン製であること。焚き火の火の粉で穴が開いてしまうこともしばしばだ。埼玉在住の友人、廣江太志さんがやっているバッグメーカー「Ripa(リーパ)」ではキャンバス生地で専用座面も作っていて、14種類の色から好みのものを選んでオリジナル座面をオーダーすることができる
ヘリノックス/ビーチチェアの特徴は低い座面とハイバックの背もたれ。昼寝をするのにピッタリの椅子だ。僕は酔ったまま朝までぐっすり寝てしまったことがある
グリベルのトレッキングチェアのような低座面の椅子は立ちヒザで座ると腰周りが窮屈だ。ヒザをおろして、あぐらをかくようにして座るとラク

関連記事