憧れのバイクいじりへの道……！ 凡人は筆を選べ!?
バイクをメンテナンスするには工具が必要けれど、
種類もメーカーもたくさんあってなにを買えば良いのか分からない、という人は多い
ここでは“良い工具”とはなにか？ をプロに聞いてみた工具選びのヒントに役立ててほしい
バイクライフ新たなトビラ手に入れるべき工具とは？
一言に工具といっても千差万別。素人には、モノの良し悪しは判断し難い。そこで、日本をはじめ世界中で高い評価を得ている工具メーカーTONEで、工具の企画・開発に携わっている藤井 匠さんにお話を伺った。バイクのメンテナンスに向いた“良い工具”とは、どういったものなのだろうか？「“良い工具”とは、やりたい作業を、思った通りにスムーズに進められる工具だと思います」
具体的には、どういった要件が求められるのだろう？「まずは精度ですね。精度が甘い工具は力の伝達が悪く、さらにボルトやナットをナメやすい。ナメてしまうと、締め込んだり緩めたりがしにくくなりますから作業効率が落ちます。ナメた箇所の修正作業も必要になりますから、余計な時間もかかってしまう」“ナメる”というのは、ボルトやナットの工具と接触する部分である、通称“アタマ”が破損してしまうこと。ボルト類のアタマは六角形をしていることが多いが、その角が削れると工具を使っても力がかかり難くなることを指す。最悪の場合は、着脱が不可能になる。
ボルト類がナメる原因の一つに、工具の精度が悪い場合がある。ボルト類は規格でサイズが決められている。その規格に適合させて、工具の寸法は設計されているのだが、品質の悪い工具では精度が甘いものが存在するのだ。「工具自体の強度と耐久性も重要だと考えています。工具が壊れると作業が止まってしまいますから。しっかりとした工具であれば、壊れる原因は多くの場合間違った使用方法をとった時です。TONEではなるべく強度にマージンをもたせて設計しています」
工具の強度が足りないと、力の伝達が悪く、さらに工具が歪んでしまい、要求される精度から外れてしまうこともある。それが、ボルト類をナメる原因にもなる。「強度に関しては“硬さ”と“粘り”のバランスも大切です。硬いだけだと脆くなってしまい、工具が壊れやすくなります。力をかけている時に工具が壊れると危険です。バイクを傷つけたり、作業者が怪我する可能性もありますから。TONEの工具は力をかけても、簡単に壊れないように“粘る”設計を心がけています」
また、バイクに使用することを考えた工具には、バイクならではの難しさもあるのだという。「バイクはコンパクトに作られているので、作業スペースに制約がある場合が多い。そのため、工具自体がコンパクトであることが求められます。ソケットレンチのソケットで、通常の製品より小さく設計した“低頭ソケット”といった工具が好まれます。TONEではレース活動のサポートを行っていますが、現場のメカニックの意見を取り入れた工具を開発しています。T型ヘキサゴンレンチは、その一例ですね」
ヘキサゴンレンチをT型にすることで均等に力をかけやすく、早回ししやすい。さらにバイクで使いやすいようにと、軸の太さやサイズを調整しているのだという。精度や強度といった、工具としての基本性能を確保した上で、バイクでの使用が考えられているのだ。そうしたバイク向きに作られた工具を使えば、メンテナンスが安全・確実に、そして楽しく行えるのだ。
工具メーカー・TONEとは？
バイクや四輪車用工具はもちろん、建築工事やプラントメンテナンスといった分野の工具まで手がける、日本有数の総合工具メーカー。あらゆるボルト締結課題に応える“ボルティング・ソリューション・カンパニー”だ。モータースポーツへのサポート活動も積極的
オイル交換ならまずはこれがあればOK
最初の工具としてオススメは？ という質問の回答が、ソケットレンチのラチェットハンドル（RH3H5625円）とソケット。ラチェットハンドルは汎用性の高い差込角9.5㎜。D.I.Y.メンテの第一歩として、オイル交換から始める人が多いことからのチョイス。オイルドレンボルトに適合したサイズのソケットと組み合わせれば、すぐできる
T型ヘキサゴンレンチ
狭いスペースでも使いやすいサイズ感、回しやすいようにシャフトにローレット加工など、バイク整備に最適な六角穴付きボルト用工具。世界耐久選手権や全日本ロードレース選手権に参戦するレーシングチーム「TONE RT SYNCEDGE 4413 BMW」からのフィードバック等、レース現場から生み出された工具なのだ
TONE・オススメ工具セット
ツールセット（TSAT353）
これ一式あれば、バイクの日常整備に必要な工具をほぼ完璧にカバー。コンビネーションレンチがラチェットめがねレンチであったり、狭いスペースでの作業に便利なビットラチェットセットが含まれるなど、工具の選択にはバイクメカニックの意見が多く取り入れられている
DATA価格：15万円
セット内容：全69点
コンビネーションツールセット（K600）
バイクと四輪のメンテナンスを始める人に最適な工具をチョイス。持ち運びに便利で、置き方も選ばない強固かつ軽量な専用樹脂ケースにセットアップ。熟練者の携帯用工具セットとしてもオススメ
DATA価格：6万7000円
セット内容：全63点
ソケットレンチセット（1570M）
バイクをメンテナンスするなら、手に入れておきたいソケットレンチの基本セット。汎用性の高い差込角9.5㎜のラチェットハンドルは、グッドデザイン賞を受賞した次世代工具シリーズのモデル
DATA価格：2万5320円
セット内容：17点
