愛車お手入れガイド(Part.3 チェーン➋メンテナンス実践編)
チェーンメンテは誰でも
できる愛車へのいたわり
オーナーが整備できる部位が少なくなっているといわれる現代のバイクにおいて、必要にして最大限に効果を発揮するメンテナンスがチェーンの洗浄と注油だ。
しかも手軽に簡単に、誰にでもできる。
まず守るべき注意点は、エンジンを停止中に行うこと。エンジンをかけてギアを入れ、チェーンを回しながら洗浄や注油をすることは、絶対にやってはいけない。
なぜなら、チェーンに指を巻き込まれてスプロケットに挟まれ、指を切断する事故を起こす危険が非常に高いからだ。
チェーンメンテを行う目安は、500㎞毎に注油、そして2回毎に洗浄する。これはあくまで目安であり理想だ。
1000㎞以上となる長距離ツーリングなどの際は、出発前に注油と洗浄を済ませ、途中で注油で
きるよう小型のチェーンルブを携行するといいだろう。
注油も洗浄も専用品を使うと、シールを傷めないのでチェーンの寿命を延ばせる。また、洗浄の際のブラシは柔らかいものを用い、歯磨きと同じくらいの力加減で行おう。
もちろんワイヤーブラシは、シールを損傷するので厳禁だ。
ホコリや砂などがチェーンに付着している場合は、専用のチェーンクリーナーを使用してていねいに除去しよう。
センタースタンドがないバイクは、メンテナンススタンドやローラースタンドを使うと、後輪を容易に手で回せるので便利だ。
日常的に重宝するので、どちらかを揃えておこう。
チェーンとスプロケットの間に指を挟まないために
・バイクの進行方向とは逆方向に
・タイヤを回して作業する
・エンジンをかけて作業するのはもってのほか
バイクの進行方向にタイヤを回すとスプロケットに巻き込まれやすいので危険。
手指切断の大怪我を負う原因になるので、エンジンは絶対にかけないこと!
使用アイテム
・ チェーンルブ ・ クロス ・ トレイ
➊注油も洗浄も、チェーンの輪の下側で行う。チェーンの広範囲をカバーできるうえ、バイクの進行方向と逆にタイヤを回しやすく、指の巻き込み事故も防げる。また、走行することでルブが遠心力でシール部に浸透しやすい
【POINT】
チェーンルブは保管時に成分が分離しやすい。注油前にはスプレー缶を上下に数回振ってルブを均一にしてから使用する
➋チェーンルブは、チェーンのリンク(継ぎ目)の隙間に向け、3 ~10㎝の距離から、タイヤを少しずつ回しながらチェーン全体に噴霧する。タイヤなどに付着しないようウエスなどで養生しよう
➌チェーン全体にルブが行き渡ったら、ウエスにルブを少量含ませて余分なルブを拭き取ることでプレート表面にも油膜ができるので、錆を防ぐことができる。ルブは少量で十分な性能を発揮するので、かけ過ぎに注意しよう
【POINT】
走行直前に注油するよりも、走行前日のほうがルブが細部まで浸透し、溶剤の乾燥により、ルブの飛散を抑えることができる
使用アイテム
・ チェーンクリーナー ・ クロス ・ ブラシ ・ トレイ
➊右手で後輪を少しずつ回しながら、チェーン全体にクリーナーを噴霧する。タイヤなどにかからないようウエスで保護するとベターだ。クリーナーが床に垂れる場合は、トレイなどを置いておこう
➋チェーン全体にクリーナーを馴染ませたら、ひどい汚れをブラシでていねいに擦り落とす。歯磨きと同じ力加減でも十分に清掃できる。砂粒などが隙間に入り込んでいるときは、クリーナーを至近で噴霧するのも効果的だ
【POINT】
柔らかなブラシを使ってもシールを傷めてしまうことがある。シールに対してはとくに注意し、ブラシをやさしく当てよう
➌チェーン全体を洗浄したら、最後に余分なクリーナー成分と残った汚れをウエスなどで拭き取る。この作業を行うとき、チェーンを包み込むようにウエスで覆い、全体をきれいに拭き取るのがいいだろう
【POINT】
注油時も同じだが、チェーンを動かす方向はバイクの進行方向と逆にすること。他人にタイヤを回してもらうことも厳禁だ
➌チェーン全体を洗浄したら、最後に余分なクリーナー成分と残った汚れをウエスなどで拭き取る。この作業を行うとき、チェーンを包み込むようにウエスで覆い、全体をきれいに拭き取るのがいいだろう
BikeJIN2022年3月号(Vol.229)掲載