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【Thinking Time】④コロナ禍でのバイク利用実態

*BikeJIN vol.214(2020年12月号)より抜粋

コロナ禍でのパーソナルモビリティとして世界中で自転車がもてはやされている
日本でも自転車の利活用に向けて省庁が利用環境の整備に慌ただしい
では、バイクはどうなんだ? 停めるところがない? 会社も学校もダメ?
それでも、バイクはやっぱり便利な乗り物だ!

コロナ禍での通勤モビリティの変化

国内で新型コロナウィルスの影響が出始めたのが2月ごろ。それから緊急事態宣言を経た今、バイクの利用環境はどうなっているのだろうか。公共交通機関は密になりやすいということもあり、いま世界中で進んでいるのが自転車の利用促進だ。日本でも「新しい生活様式(ニューノーマル)」を踏まえ、通勤・通学を自転車で行おうという動きが活発になっている。

 特に国土交通省は自転車通勤に力を入れており、自転車通勤推進企業を認定したりシェアサイクルの普及(公有地へのサイクルポート設置等)を検討したり自転車専用通行帯を増やしたりといった活動を行っている。IoT(モノのインターネット化)、MaaS(ITによる移動のサービス化)を活用して自宅→駅〜駅→会社の移動にシェアサイクルを取り入れるといった試みも盛んに議論され、まさに「時代は自転車」といった感じだ。

通勤・通学目的でのバイク利用は増えていた

残念だが、バイクは完全に取り残されているような状況にある。電動化を進め、IoTとの親和性を高めてきた「パーソナルモビリティの多様化」の流れに、まったく絡んでこなかったツケが回ったようにも思える。電動キックボードや電動モペッドといったEVは内閣府支援のもと、「規制のサンドボックス制度」を活用して規制緩和に向けた実証実験を活発に繰り返しているというのに、バイクにはどうして動きが見られなかったのか。
 

コロナ禍にあって「バイクに乗ることを自粛しよう」という風潮のなか、それでもバイクは有効な移動手段であるとして、医療・福祉、各種インフラ関係者などエッセンシャルワーカーでバイクを利用する方々は一定数おられた。また、デリバリー業界では配達用の三輪バイクが飛ぶように売れていたのも事実だ。
 

では、日常生活の中でバイク(コミューター)を利用していた方々はどうしていたのか、今どうされているのだろうか。都市部でバイクが停められなくなった今、そのデータを計る指標は実に少ないが、予約制時間貸し駐車場を経営する「akippa(アキッパ)」がとても興味深い調査を行っていたので見てほしい。

 それは、予約制バイク駐車場の「通勤・通学」目的での予約数(利用数)というものだ(akippa株式会社調べ)。バイク保有台数1〜3位の東京、神奈川、大阪、さらには全体(全国)を対象としており、2月の予約数を1(基準)とした場合の伸び率を表している。これによると、緊急事態宣言が解除された6月以降もゆるやかな伸びを見せており、電車など公共交通機関の乗車率が回復しつつあった8月でもバイクによる通勤・通学の需要は伸びていたということが分かる。特に6月の神奈川県では3.1倍もの予約数を記録した。

予約制駐車場事業者と共にユーザーとしてできること

シェアサイクル大手のNTTドコモは、実証実験を経て、公有地という難しい場所にサイクルポートを設置した。一方でバイクの駐車環境は何か改善したのだろうか。歩道に気軽に停められない、四輪用駐車場の二輪車転用も進まない。放置駐車対策としての行政によるハコモノ駐車場の設置も、当のライダーが声を上げていない状況では期待もできない。さらには利用者の減少から駐車場事業者の経営も難しくなってしまった。
 

こんな状況でもなお、唯一期待できるのが予約制時間貸し駐車場の存在だ。事業者各社も「ここに駐車スペースを作ってほしい」といったユーザーの声を取り入れた営業を行っており、今後、いかに駅や繁華街の近くに設置していけるかが「停められない」という課題の改善に直結してくるだろう。いちバイクユーザーとしては、こうした事業者に期待せざるを得ないし、可能な限り利用していく、要望を伝えていくことも重要なステップだ。ぜひ積極的に利用してほしい。

四輪用駐車スペースをバイク2台分に転用した例。真ん中に白線を1本引いただけで予約制駐車場に最適な手法だ

新宿駅西口自転車等駐車場は歩道(道路)上に設置されている定期利用者専用の駐輪場。原付一種のみ駐輪可能で毎年抽選が行われる

区立新宿中央公園入口のデッドスペースに設置されたドコモ・バイクシェアのサイクルポート。実証実験を経て公有地の敷地利用が許可された

予約制時間貸し駐車場への期待

都心ではバイク移動をあきらめた人の声をよく聞く。バイク駐車場の利用者数は減少し駐車場新設の勢いも弱まった。通勤通学であれば定期駐車場が便利だが空きは少ない。一方、事前に確保できる予約制駐車場は重宝され数を増やしており、この傾向は今後も続くだろう。以下の写真は予約制のパラカ「西新橋第2駐車場」

予約制駐車場は、予約も料金の支払いもネットで完了。自動収受機等の設備投資が必要なく、四輪駐車場の一角や個人宅の軒先を利用したりと自由度が高い。写真は東京都荒川区にあるakippaの契約駐車場の四輪駐車場にバイク用駐車スペースを設置したもの。料金収受機が写っているがakippa 利用者は使わない

トメレタ

NTTドコモが運営大手ならではのメリットも

NTTドコモが運営する駐車場シェアリングサービス。時間貸しではなく1日単位で貸し出すシステム。スタジアムなどイベント会場周辺に多いのも特徴。最先端機器の導入が期待される。

パラカ

バイク専用の予約サイト「バイクパーク」が使いやすい

都心部の駅近物件が多く筆者も頻繁に利用。本年10月19日現在で386件・926台の二輪駐車場を持つ。サイトにアンケート欄があり駐車場を設置してほしい場所を募集し、全社員に共有している

akippa

志すのは「困りごと解決企業」駐車場リクエスト機能も!

困りごとの解決をミッションとする。本年10月5日に累計会員数が200万人を超え、二輪対応の駐車場数は2万6000カ所ほど。アプリには欲しい地点に駐車場をリクエストする機能もある

次の記事では、二輪車の駐車場不足に至った要因を含めて、2006年の2つの法改正について説明しよう

Writer 田中淳磨(輪)さん

二輪専門誌編集長を務めた後、二輪大手販売店、官庁系コンサル事務所への勤務を経て独立。三ない運動、駐車問題など二輪車利用環境問題のほか若年層施策、EV利活用、地域活性化にも取り組む
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