絶景スポットと呼ばれる展望台の正体とは?
あらためて、地図を確認したい。呉市の本土側から国道487号で南下すると音戸の瀬戸が現れる。ここを音戸大橋で渡れば倉橋島(呉市)。そして、早瀬大橋を渡ると、江田島市の島々に入ることができる。このあたりも複雑な地形で、地図を拡大して見れば分かる通り、ホントすぐそばにある島なのに渡れない、といった状況だ。この音戸大橋と早瀬大橋はその観点からも非常に重要な意味を持ち、江田島市の人々にとってみれば必要不可欠な橋。この橋のおかげで江田島市は呉市や広島市のベッドタウンとして機能している。
今回、江田島市では江田島、東能美島、西能美島を周ったが、この島々は1日もあれば、十分周れるスケール感だ。この江田島には、明治時代にできた旧海軍兵学校があり、現在も海上自衛隊第一術科学校幹部候補生学校として多くの自衛官を輩出しているのが特徴だ。
江田島市の島々では当然、人々が生活しているので、信号はあまり見なかったものの、道路はそれなりの交通量がある。コンビニやガソリンスタンドもあるので困ることもあまりないだろう。
音戸大橋は絶景のひと言であったが、ここから先も素晴らしいシーサイドラインが広がっている。呉の市街地周辺とは様子が変わり、海にはカキ筏が浮かび、じつにのどか。海岸線は海が見えそうで見えないことがあるが、このあたりは違う。ガードレールや防波堤などといった視界を遮るものが少ないため、ドドーンと海が楽しめるのだ。「いや〜、海がキレイで最高だな」と感激しつつ、三高山の砲台跡に向かってみた。ここも絶景スポットだというではないか。ここでボクはあることに気が付いた。このあたりでは、景色がいい=あたり一面を見渡せる=砲台跡という図式が成り立っていた。じつは、砲台跡と地図に表示されていたのはここだけではない。思わず「絶景スポットって相手を狙うのに有利な場所なのでは?」という疑問が生まれ、逆に「どこに砲台を設置したら自国を守れるのか」と自問自答。平和ボケしている自分にはこんな感覚、これまで一切なかった……。
これまで陸から見た海ばかりにとらわれていたが、海から陸を見これほど要塞感のある港はほかにないのではないか。そして、冒頭で説明した2つの橋は船の通行が可能なのだから、自由に行き来ができる。これは地理的に非常に重要なことだ。
江田島を走り回って日が暮れたとき、フェリーを利用してみた。三高港から広島港(宇品)までで約40分。コイツは早い。携帯電話の電波もある。フェリーから景色を眺めてみると、まるで迷路のよう。たしかに、この海道は一筋縄ではいかない、攻めにくい海だったんだな〜と実感してしまった。
こんなツーリングは今まで経験したことがなかった。キレイな海岸線を駆け回ることは幾度もあったが、これほど海について考えさせられたことはない。この広島ツーリングは、ボクに新たな旅の視点を教えてくれた気がした。