戦艦大和はなぜ呉で生まれたのか?
「呉は防御力が高い」
大和ミュージアムに到着して館内を回っていて、ハッと思った文言がこれだ。なぜ、呉で大和が生まれ、海軍の拠点として栄えたのか。こんな疑問が冒頭の説明で納得がいったのだ。
ここでもう一度、地図を広げてみてほしい。呉の海はとにかく、入り組んでいる。そして、周囲の島々には山があり、砲台も設置できる……。これは、守りやすそうだ。
呉は明治時代以降に、海軍の拠点として横須賀、舞鶴、佐世保と並んで海軍の拠点である鎮守府が設置された歴史を持つ。戦前は呉海軍工廠において当時の世界最大の戦艦でもある大和などが建造され、東洋一の軍港・日本一の工廠として知られていた。終戦後も呉のDNAは受け継がれ、現在では、護衛艦隊、潜水艦隊や練習艦などが所属する海上自衛隊呉基地があり、その敷地内には海上自衛隊呉地方総監部が設置されている。造船、鉄鋼といった製造業も呉の主要産業だ。
この歴史を理解するためには、先述の大和ミュージアム、てつのくじら館を回るといい。というか、絶対に足を運んだほうがいい。というのも、ベーシックな基礎知識を得ることで、今回紹介するコースに深みが出てくるからだ。
大和ミュージアムの1/10戦艦大和の迫力は凄いし、人間魚雷「回天」は実物だという。パネルも充実しており、呉市の当時の状況や大和のメカニズムなどが詳細に記述されていた。これは日本人として知っておきたい内容だ。
てつのくじら館は大和ミュージアムのバイク駐車場から歩いてすぐ。どデカイモニュメントがあるが、これは実物の潜水艦。いざ中に入ってみると、深海に潜みこの中で生活するという緊張感が伝わってくる。余談だが、かわぐちかいじ先生の漫画「空母いぶき」を読めば、理解が深まるだろう。
この2つの施設を抑えると、ただ「海がキレイだね」なんて視点ではなく、海そのものを考えさせられる。つまり、陸から見た海ではなく、海から見た陸という視点である。あるいは、外国から見た日本という見方になるだろうか。
まず、アレイからすこじま公園に立ち寄って欲しい。コイツはぶったまげる。ここで見えるのは、海上自衛隊の潜水艦や護衛艦の「展示」ではなく、フツーに活動している姿。首都圏から来た自分にとっては日頃目にすることはない不思議な光景なのである。
この付近には、造船業のIHIや日新鉄鋼の工場があり、独特な雰囲気。呉を少し知っただけで、こんなにもツーリングは楽しくなるのかと関心してしまった。