1. HOME
  2. ツーリング
  3. 【第18話】ツーリングマップル編集者が語る地図屋の美学 「地図編集者になりたい!?」Part4

【第18話】ツーリングマップル編集者が語る地図屋の美学 「地図編集者になりたい!?」Part4


本の地図の図取りは、悩みだすときりがない。ある程度は成り行きで
地図だけじゃなく、その他の構成要素についても詰めていく必要がある

取材協力
昭文社
http://www.mapple.co.jp/

こんにちは! 今年に入って、ユーチューブを観る時間が格段に増えています。同じような人が周りにもけっこういて、俺も、私もという方は多いんじゃないでしょうか。主たる要因の一つは言わずもがな「ヤツ」のせいなわけですが、実のところ観ていて面白いし、洗練もされてきていて、ちゃんと惹きつける理由があるんですよね。培倶人でも生配信が始まってますし、ツーリングマップルだったらどんな動画作ろうかなぁ……なんて考えたりしています。公開の際には、チャンネル登録と好評価お願いしますね。ナンテナ!(笑)

地図の本を作る

さて、思わず長く続いている現在のテーマですが、もうちょい続きます。お付き合いください。

前回は、ブックタイプの地図の「図取り」について、どんな構成・種類があるかの説明をしました。「単層メッシュ」や「複層メッシュ」、そのほか「単層多縮尺」のメッシュ、それに非メッシュ地図などなど(前回記事参照ください)。ページが多数にわたるので、かなり複雑で、大変めんどくさそうなのですが、要は「見せたい部分が見せたい縮尺で収録されていればいい」わけですから、やりながら納得できるレベルまで調整を繰り返すのみです。最終的には「なるようになれ」で片づけちゃうしかありません(なんて言ったら怒られるかも)。

メッシュの基準

メッシュ図の図取り手順としては、まず基準となる図の位置を決めます。

基準図は、範囲内の一番おいしい場所(一番使われるであろう地域)がきれいに収まるように決めて、それを極力動かさないよう周囲に図を配していく方法が一つ(図1)。このアプローチは狭域~中域(県レベル)の地図で比較的多いです。

もう一つは広域地図の場合ですが、広域になると「おいしい場所」がたくさんあり、それらを全部きれいに収めるのは到底無理なので、基準図は適当に決めて(とりあえずメッシュの端にすることが多い)、全体を動かしながら、収録したい範囲が気持ちよく入ることを優先します(図2)。

おいしいエリアをきれいに切り取りそこから流すパターン

広域の場合はおいしいエリアはぶった切れても仕方なし

無駄なスペースどうする問題

メッシュの図取りはそんな感じで行われます。案外あっさりしているんですが、どんなにこだわってもすべての図を気持ちよく入れることなんてできないので、どこかで妥協が必要になるわけです。それより本の地図の場合、図取り以外にも色々考えねばならないことが多いのです。例えば無駄なスペースをどう活用するのか。メッシュ図では、たとえば図3のように「なにこのスペース?」というような図も出てきます。空いたスペースに拡大図を入れたり、おすすめ情報などを入れたりする場合もありますが、あえてなにも入れない場合も。

ツーリングマップル中国四国29「須佐」のページ。メモに使える!?

また、図順をどうするか、なんてことも決めねばりません。お気づきでしょうか、ツーリングマップルはエリアによって、上(北)からスタートするものと下(南)からスタートするものがあります(図4・5)。どっちが正解ということはないんですが、これもやはり、より多く使う地域が前半になっているケースが多いように思います。「もし、逆向きだったらどうだろう」って考えてみると、地図の制作者の意図も見えてくるかもしれませんね。

関西は和歌山の潮岬からスタート。そこから北上していく

中国四国は松江から南下。関西とは隣だけど逆になっている

さらにさらに、地図以外の情報(索引や各種料金表など)をどうするか、そのあたりを考える必要もあります。例えばツーリングマップルでは過去に高速道路の距離・料金表がなくなったことがありますが、なくなったツーリングマップルを購入した読者から結構苦情が多く(個人的にも不満でしたが)、私が担当になってから再度作成して掲載しました(これがまた大変だった……)。まあしかし、いずれ時流に合わせてまたなくなるかもしれませんね。

やりたいことが全部できるわけじゃない

まあそんな具合に、地図作りには、新しいタイプのものを生み出すにも、今あるものを改善するにも、終わりがないです。

ツーリングマップルも、本当はもうちょっと縮尺大きくした方がいいんじゃないか、とか、色使いもガラッと変えたいな、と思っても、全部で600以上の図があるので物理的に(コスト的に)難しかったり、今使ってくれているユーザーが買い替えた時に不便を感じてしまったり、とハードルが高いんですよね……。昔みたいにツーリングライダーの誰もが使ってくれる、それくらい売れてくれれば話は別なんですが……いや、そうなるように頑張ります!

Information
みんなのツーリングマップルOPEN!!

Twitter:@touringmapple_s

関連記事