相手のカンに障ったら映像がネットに公開される!?
近年、交通トラブルの代表格となった「煽り(あおり)運転」。今夏も常磐自動車道で被害者のクルマが停車させられ、運転手が殴られるという事件が世間を賑わした。この事件が世に知られたのは、被害者がドライブレコーダーの映像をツイッターに公開したことが大きい。
煽り運転は2017年の東名高速道路で本線上に停車させられた親子のクルマにトラックが追突し、両親が亡くなった事故がきっかけで、広くこの単語が認知されるようになった。同時に煽り運転対策としてドライブレコーダーのニーズが高まり、今夏の事件でさらに販売が伸びているという。
このドライブレコーダーの普及と同時に、“煽り運転をネットで晒す”というドライバーも増えている。暴力事件にまで至らないまでも、「車間を詰められた」「前に割り込まれた」とドライバーのカンに障ったら、ドラレコで撮ったその映像をただちにネットで公開。バイクでもすり抜けや追い越しでドライバーに不快感を与えるようなことがあれば、ネットに晒されてしまう可能性があるのだ!
実はこの「煽り運転」に、道交法上の定義はない。警察当局は車間距離不保持や急ブレーキ禁止違反といった交通違反や、心理的に恐怖を与えたなどとして暴行罪や危険運転致死傷罪などで摘発しているという。ただし、近年、報道を賑わしている煽り運転事件は、被害者が死に至ったり、暴行を受けたといったことからで、それはもはや暴行や傷害であり、運転そのものとはやや事件の本質が異なってくる。
とはいえ、最近一般的に「煽り運転」が指すところの「車間を詰められた」「眩しいライトに威圧された」といった類のものは、受け取り手の感覚次第。自分では前を走るクルマに対して車間を詰めたつもりがなくても、前走車の速度にムラがあり、たまたま速度が落ちて車間が縮まったのを、前走車のドライバーが「車間を詰めて煽られた」と感じているかもしれない。逆にそんな状況に、「わざとスピードを落として嫌がらせをしているんじゃないか」と後続車は感じるかもしれない。
煽り運転はライダーやドライバーの感情も大きく左右する。煽り運転を防ぐためには、煽られていると思われないような運転や、こちらが周囲をイライラさせて煽られるような運転をしないことだ。