昭和時代の国民的バラエティ番組ドリフターズの「8時だヨ全員集合」
そのエンディングで毎週歌われていた「いい湯だな」の原曲に登場する登別温泉
昭和時代の子供なら、登別は常に気になる特別な存在だったと思う
そしてなんとも面白い響きの「おしゃまんべ」は、どこにあるのか知らないが
その名前を知らない人は一人もいなかったと思う。よ~し、行ってみよう!
少年時代に憧れた北の町を訪ねて「昭和ノスタルジー」vol.1 上ノ国町・江差編
昭和時代に憧れた北の町へ向かう
今年は道南に行くと決めた。昭和38年生まれの僕が小学生のころ、札幌に次いでメジャーに感じていた長おしゃまんべ万部と登別があるからだ。
小学校低学年だったが、由利徹が長万部の地名を、面白おかしく、「おしゃ・まんべ」というだけのギャグが受けていたのを覚えている。
昭和50年代に絶大な人気を誇った、今でいうところのバラエティ番組がドリフターズの「8時だヨ全員集合」だ。数々の流行語を世に送り出し、最高視聴率50%超えを記録するなど、そのエピソードを挙げればきりがない「お化け番組」だった。そのエンディングテーマが温泉を歌った「いい湯だな」の替え歌で、オリジナルソングの歌詞には、「ここは北国、登別の湯」というフレーズがあった。北海道には登別という名湯があるということが子供心にしっかりと刻まれた。
時は流れて大人になった僕は、東北地方でレコードを売っていた。東北にはたくさんの民謡があり、生活に密着していて、地元の歌だけではなく日本中で民謡に人気があった。北海道の民謡「江差追分」の本質は理解していなかったが、よく売れるものとして愛着がわいていた。その後、昭和62年に大川栄策が遠藤実作詞・作曲の「江差・追分・風の町」を発表した。カラオケブームもあり、そこそこの人気曲だったと記憶している。
このように、僕の中でメジャーであり、常々訪れたいと思っていた場所が道南に集中していることも何かの巡り合わせだろうか。
かくして昭和時代を思い起こしながら旅支度を整え、最初の目的地江差に向かった。
当初、2泊3日の旅ということで長万部と登別を宿泊地としてプランを立てた。しかし、中村編集長がせっかく江差に行くなら、夷王山まで足を伸ばしてみたら?というススメに乗っかって上ノ国町に1日目の宿を取り、早朝の夷王山を走った。周辺は檜山道立自然公園に指定されたエリアで、日本海に浮かぶ奥尻と大島を望む、そして美しく伸びる海岸線は心に残る風景だ。来てよかった!
料理宿 宮寿司
岬の先端、最高のロケーションに建つ宮寿司。お寿司屋さんにして宿泊ができる。旬の魚を使った寿司と魚料理が自慢の宿だ。ランチにうに丼というのもオススメ
DATA
住所:北海道檜山郡上ノ国町大崎10-2
TEL:0139-55-1005
宿泊料:9720円(1泊2食付き)
HP:https://www.miyazusi.com/
ひゅうひゅうひゅるひゅる今日も江差に風が吹く
ニシンは戻らずとも朗らかな雰囲気の町
北原ミレイが歌った石狩挽歌。江戸時代から明治時代にかけて、ニシン漁で栄えた江差。昭和時代に漁獲高が著しく減少し、ニシン漁は衰退した。使われなくなって手入れがされていない網の様子を、オンボロロ~と歌っていたのだが、時代背景を知らずに聞いていたので「昔のヒット曲」として認識していた。しかし、町の歴史を知ってから聞き直すと、なんとも物悲しく、やるせない気持ちになってくる。
江差の町には「いにしえ街道」と呼ばれる道に面して100年以上前の建物がある。ニシン漁の網元として栄えた旧中村家や旧横山家など、国の重要文化財に指定された建物も残る。こうした建物や古い蔵などを利用して街の景観を整えている。ぱんやベッキーもその一つ。到底パン屋さんには見えないが、平日の昼間からお客さんが絶えない人気の店のようだ。実は前日宿泊した宿の母娘がこのお店のファンで紹介を受けたのだが、お店を訪れると品の良いご婦人と一緒になった。「本当においしくて、毎日買いに来るのよ」と、笑顔で話してくれた。地元に愛されてるなぁ~。
ぱんやベッキー
歴史ある江差町の街並みに調和した店舗。身体に優しいパン作りがポリシーで、あんパン、本格フランスパン、耳まで美味しい食パンなどが高い人気を博している
DATA
住所:北海道檜山郡江差町姥神町90
TEL:0139-56-1115
営業時間:8:00~売り切れまで
定休日:火曜、第1第3月曜
HP:http://panyabecky.com/
そして、この通り沿いにもう一軒。北海道土産として、筒形の羊羹をご存知の方も多いと思うが、その五勝手屋本舗の本店がある。北海道は良質な小豆がとれるので和菓子の老舗が多いのだ。
五勝手屋本舗
空港や駅など、北海道のメジャーなお土産として目にしたことがある筒に入った羊羹。その五勝手屋本舗の本店が江差にある
DATA
住所:北海道桧山郡江差町本町38
TEL:0139-52-0022
営業時間:8:00~19:30
定休日:第3火曜
HP:http://www.gokatteya.co.jp/
さて、歴史を見ればやや寂しい時期のようだが、さびれた感じはまったくなく、古いものもきれいに活用され、レトロでしゃれた雰囲気を醸し出している。
国道229号から海辺に降りて、風化によってできた奇岩「くぐり岩」で一人の青年と出会った。カフェレストランGuildをオープンしたのだという。「ライダーにも来てほしいですね。敷地は広いのでキャンプをしていただいてもOKです。そうすれば自慢のクラフトビールもご賞味いただけますし」(笑)とのこと。キャンプツーリングなら、宿泊地の候補に入れてみては?
Guild Endeavour
2019年にオープンしたばかりのカフェレストラン。武田開店長のオススメは自社生産のクラフトビール「ペールエール」と窯で焼く直径30㎝のピザ
DATA
住所:北海道爾志郡乙部町館浦686-2
TEL:0139-56-1300
営業時間:11:30~14:30、17:30~20:00
定休日:月曜・火曜
HP:http://www.guild-endeavour.jp/