この7月から、1日に受講できる教習時間の上限を引きあげることで、AT小型限定普通二輪免許(以下AT小型免許)が最短2日間で取得できるように法改正が行われました。つまり、土曜日、日曜日の2日間で取得が可能になり、免許が取りたくても忙しくてなかなか教習所に行けなかった方も、免許取得のハードルがかなり下がったわけです。
AT小型免許で乗れる中心モデルは125ccのスクーターで、2段階右折や30km/hの法定速度など、規制ばかりで使いにくい存在になってしまった原付(50cc)に対し、もちろん2段階右折をする必要もなく、法定速度もクルマと同じ60km/hで交通の流れにのって走れます。なので、通勤・通学の便利な手段として非常に注目されている存在です。
しかも、いまや日本特有のガラパゴスバイクになってしまった原付に対し、世界では125ccクラスがグローバルスタンダードの入門&普及モデル。それだけに、魅力的で良質なモデルが揃っています。量産効果もあって、価格も手頃なモデルが多いですから、ユーザーにとってもメリットがあるし、二輪業界にとってもこのクラスの普及が進めば販売台数の増加に直結するとあって、最短2日間で免許取得できるようにと強く関係各所に訴えてきていました。
その願いが現実になったわけですが、実際、自動車教習所はこの決定をどう受け取っているのか、また教習所の受け入れ態勢はどうなっているのかを、全日本指定自動車教習所協会連合会(全指連)の「教習調査研究小委員会」の委員長でもある阪神ライディングスクールの有馬さんにお聞きしました。
阪神ライディングスクールは綿密なカリキュラムで対応! 今後、対応する教習所が増えてくるはず
教習所側も今回の決定は非常に前向きに捉えていて、2日間で取得できるように教習体制を含めて対応策を準備しているといいます。というのも、2日間で入校→教習→実地試験→卒業を行うとなると、かなり綿密なカリキュラムが必要で、教習に関してはスムーズかつ確実に技能を習得できるようにマンツーマンでの指導が好ましいとの回答でした。
実際、阪神ライディングスクールでは、8月のお盆休みの2日間を利用してAT小型免許を取得希望の方がいらっしゃり、しっかり準備をして受け入れたこともあって無事に2日間で入校から卒業まで終了したそうです。その方は兵庫県にお住いの30代の男性で、免許を取得して125ccで通勤をする予定とのことで、短時間で取得できたことを非常に喜んでいらしたとのこと。
2日間で取得するには、密度の濃い教習が必要とのことで、現在のところマンツーマンの手厚い教習体制が望ましいそうだ
阪神ライディングスクールでは、ご覧のようにウェブサイトでAT小型免許の取得について、入校から卒業まで最短2日をアピールしている
二輪免許専門の阪神ライディングスクール。実は、モンちゃんもここで大型二輪免許を取得しました
免許を取りたい気持ちを盛り上げるためにも、新規取得者向けのお得な購入キャンペーンなどを期待したいですね!
今後、教習所側の受け入れ態勢が整えば、阪神ライディングスクールに続き、積極的に2日間教習での取得を積極的にアピールする教習所がどんどん出てくることは間違いないでしょう。今まで諦めてきた潜在ユーザーも、週末だけで取得できるならチャレンジしようという積極的な気持ちが湧いてくるはずです。
免許取得者が増えれば、当然、バイクの購入希望者も増加するはず。ですから、二輪メーカーには弾みをつける意味でも、AT小型免許の新規取得者を対象にしたお得な購入キャンペーン(今日時点では、ヤマハが「AT小型限定免許とっちゃう♪キャンペーン」を行っています)などを積極的に行って欲しいものです。
免許取得の簡便化→取得者の増加→新車販売台数→バイク用品の売り上げアップ。この図式が現実のものとなるように願っています。
AT小型二輪免許の取得者を増やすには、教習車の充実も望まれる。現在、主力のホンダ・スペイシー125も登場は2005年で、現在は販売されていない
ヤマハが早速、改正法施行後の7月20日からキャンペーンを開始している。他メーカーもぜひ追随してほしい!