ホンダが1995年から2002年まで生産していた電動アシスト自転車のラクーンシリーズ。ボクも折り畳み式のラクーンコンポを所有していました。
なぜいきなり電動自転車のことを書いたりするのかというと、先日、ホンダがインドネシアでバッテリー交換型電動バイクの実証実験を行うという発表があったのと関係しています。
その実証実験の詳細を取材するためにホンダ広報のTさんにお話を聞きに行った際、なんとラクーンの販売促進のために、バッテリーを共用し、容量が少なくなったバッテリーを充電済みのバッテリーと交換できる「交換ステーション」を全国のコンビニなどに設置しよう、そうすれば日本一周ツーリングだって可能になるよね、という構想があったとお聞きしました。
しかも、それは単なる構想で終わらず、実際に交換ステーションの試作機もあり、1999年にはその旨のプレスリリース(開発したという内容)まで出したというのです。
そんなリリースが出たなんてまったく覚えていませんでしたが、Tさんが当時のプレスリリースを探して送ってくれました。
これが、1999年に発表された充電済みのラクーンのバッテリーが手に入る「バッテリー交換スタンド」。当時のプレス写真はモノクロの紙焼きでした
94年から2002年まで生産されたホンダの電動アシストサイクルのラクーン
アルミフレームを採用した折り畳み式のラクーンコンポ。ボクも所有していました
形状はさすがに違いますが、GogoroもKYMCO ionexも基本的な考え方は99年のホンダと同様です
なんとまあ、形こそ少し違いますが、台湾などで実用化されているGogoroのGoStationや、先ごろ市販電動スクーターを発表したKYMCOの充電ステーションとほとんど同様のコンセプト! 20年以上前にすでにこんな構想があり、試作までされていたなんて本当に驚きました。
そして、改めて思ったのが、こういうインフラ的なものを普及させるには、技術力や開発力だけでなく、そのための環境整備が欠かせないということ。一企業がいくら頑張っても、政府なり自治体なりの協力がないと、なかなか実現は難しいのです。
台湾の電動スクーター普及の施策も、そして今回ホンダが発表したインドネシアでの実証実験も、いずれも政府の後押しがあることで現実のものになっているということですね。
ホンダのインドネシアでの実証実験の詳細と、日本でも2018年中に電動スクーターを販売すると公言していた件については、また次回。
台湾ですでに普及している電動スクーター・Gogoroの充電ステーション。ガソリンスタンドやコンビニなどに設置されている
KYMCOが今年の3月に発表した電動スクーターのプラットフォームであるionexのキーとなるのが、この充電ステーション。バッテリーが消耗したら、充電済みのバッテリーとここで交換できる
ホンダがインドネシアで今年の12月から実証実験を始める際に用いる充電ステーションのプロトモデル。なかにバッテリーパックが数個入るという
充放電器とバッテリー(電池)からなるモバイルパワーパック。これ1本での航続距離などはまだ未発表だ